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失敗は「そこ」からはじまる

公開日: : メンタル・心理

綿密に計画を立てて意思決定したはずなのに、どうしてひんぱんに脱線してしまうのでしょうか?

どうすれば、計画どおりに進むのでしょうか?

こうした疑問に答えることに的をしぼった研究プロジェクトをいくつも行い、その成果を紹介するのが本書です。

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題名 失敗は「そこ」からはじまる
著者 フランチェスカ・ジーノ(Francesca Gino)
訳者 柴田裕之(しばた・やすし)
発行 ダイヤモンド社

内容

著者のフランチェスカ・ジーノさんは、ハーバード・ビジネススクールの交渉術・組織・市場ユニット所属の経営学准教授で、経済学、経営学や交渉学といった枠組みを超えて、社会心理学、行動経済学など幅広い研究者と共同研究を行っており、長年にわたり「脱線」というテーマに取り組んできた人です。

新しいマーケティングプラン、資格取得のための勉強、ダイエットなど、綿密に計画を立てて意思決定したはずなのに、気がついたらまったく違う行動をしていた・・・

どうして私たちの意思決定は、これほどまでに脱線してしまうのか?

この疑問に答えることに的をしぼって研究を重ね、その成果を紹介するのが本書です。

第1部「自分の内面由来する力」では、自分の能力の過大評価、抱いている感情がまったく別の決定にも影響を及ぼすこと、注意を向ける範囲を狭めることの弊害などを探ります。

第2部「他者との関係に由来する力」では、他者との絆にしばられる現象、他者の立場に立つ難しさ、他者との共通点または比較によって私たちがどう影響されるかを論じます。

第3部「外の世界に由来する力」では、的外れの情報が決定に及ぼす影響、環境のあり方次第でどのように脱線してしまうのかを解説します。

この3つの力が、私たちの意思決定に影響を及ぼしており、それを理解することで「脱線」しにくい計画を立てることができるとしています。

こんな方におススメ!

◆意思決定したものを、計画どおりに進めたいと思っている方
◆リスクのあるプロジェクトを行うべきか悩んでいる方
◆効果的な販売促進策を考えている方

感想

大変興味深い本でしたね。思ったような内容でなかったり表現が難解な場合など、つい飛ばし読みをしてしまうのですが、この本は少しボリュームがあるにもかかわらず、内容が面白いのでじっくりと読み込むことができました。

私たちの下した決定が、いかに当初の計画と食いちがっていくのか。仮説を立て、その検証のためのさまざまな実験を通して、一般法則の数々を鮮やかに浮かびあがらせてくれています。

私たちはたいてい、自分は同輩たちよりも運がよく、運転が上手で、有能で、健康で、投資が得意だと考えている

このように誇張された認識は「平均以上の信念」と呼ばれるもので、ストレスの多い出来事など心理的な苦しみを減らすことには有効ですが、この意識があまりにも過剰だと他者の助言を軽く考えてしまう傾向があるので過大な自信過剰をいさめています。

「自分と似た人たち」の意見と行動は、私たちに強烈な影響力を揮う

この言葉は、ホテルのタオルの再利用率を上げる実験から裏付けられています。標準的な「環境保護(節水、節熱など)」メッセージと「行動模倣(約75%のお客様が再利用など)」をランダムに客室に置いた場合、「環境保護」条件では35%、「行動模倣」条件では44%、さらに「この部屋(○○○号室)にお泊りになったお客様の75%が再利用…」にメッセージを変えると、再利用率は49.3%まで上がると言います。

見ず知らずの人でも、過去に同じ部屋に宿泊したというごく些細な共通性があるだけで、その行動をマネしたくなるようです。

それを逆手にとったのがアマゾンの「[この本]を買った人は[こんな本]も買っています」というメッセージで、「つながり」の影響力を購買につなげる仕組みで大成功を収めているようです。

何かにまだ取りかかっていない場合よりもすでに取りかかっているときのほうが目標の達成に力を入れる傾向がある

これはスタンプカードの実験で「8回洗車すると9回目は無料」よりも「スタンプがすでに2個無料で押してある10回洗車すれば1回分無料」の方がほぼ2倍完了する確率が上がったと言います。

実質的に両方とも“8回洗車すると1回分無料”なのですが、すでに取り組んでいる課題として認識されているほうが私たちはやりとげようと熱心になるようです。

これは、「付与された進捗効果」と呼ばれるもので、お店のポイントカードなどを配布する際にただ手渡すだけでなく、ひと工夫加えることで高い効果が期待できそうですね。

これらの法則に自分の行動が導かれた可能性をじっくりと考え、そして、将来同じような状況でどのような対応をとればよいのか、その判断材料として本書は有効だと感じました。

目次

序章 なぜ私たちは、「成功」をみすみす逃す意思決定をしてしまうのか?

第1部 「内なる自分」―自分の内面に由来する力

第1章 なぜグリーンスパンは、サブプライムローンの危険性を見抜けなかったのか?
―不正確な自己イメージに「気づかない」
第2章 マイクロソフトのヤフー買収提案額は本当に「少なすぎた」のか?
―伝染する感情に「流される」

第3章 なぜサムスンにだけ「そのリスク」は見えていなかったのか?
―視野が狭すぎて「見落とす」

第2部 「まわりの人」―他者との関係に由来する力

第4章 なぜコカ・コーラは顧客を裏切る意思決定をしたのか?
―相手視点の欠如で「しそこねる」
第5章 ITベンチャーが失敗するのは「友情」の過大評価のせい?
―油断ならない社会的絆に「影響される」
第6章 フェイスブックをチェックするたびに「少し焦る」のはなぜか?
―あからさまな社会的比較で「のせられる」

第3部 「取り巻く社会」―外の世界に由来する力

第7章 「研究開発費」が多ければイノベーションが起こりやすい、は本当か?
―的外れの情報で「決めつける」
第8章 ディズニーが社員を「キャスト」に変える魔法の正体は?
―フレーミングによる微妙な変化に「ハメられる」
第9章 不正をした政治家やCEOは、なぜ平然と正当化できるのか?
―状況の力と自己欺瞞の誘惑に「そそのかされる」

まとめ 「9つの原則」で失敗しない意思決定を

【今日紹介した本】

失敗は「そこ」からはじまる

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