ぼくは「技術」で人を動かす
リーダーシップを発揮するためのスキルと人間性を混同して捉えてしまうと、自分の未熟さに目線が向くために自信がなくなり、かえって自分らしさを発揮できなくなってしまいます。
リーダーシップを人間性の問題と考えず、一つの「スキル」として身につけていけばいいのです。
題名 ぼくは「技術」で人を動かす――今いるメンバーで結果を出す{チームリーダー}のレシピ
著者 髙島宏平(たかしま・こうへい)
発行 ダイヤモンド社
内容
著者の髙島宏平さんは1973年生まれ。東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了。修了と同時に外資系コンサルティング会社マッキンゼーに入社、Eコマースグループのコアメンバーとして活躍されました。
そして2006年に「一般のご家庭での豊かな食生活の実現」を企業理念とする、オイシックス株式会社を設立し代表取締役として活躍されています。
本書は、著者がオイシックス株式会社をゼロから立ち上げて、今日まで続く悪戦苦闘の日々の中で身につけてきたチームづくりやリーダーシップについて整理して紹介されています。
リーダーシップは「才能」や「人間性」ではなく「技術」であるとして、リーダーシップのスキル的な側面と人間性などを切り離し、著者が実際に経験し身につけてきたスキルを7つに整理し、レシピとしてまとめてあります。
PART.1{観察}のレシピでは、発信よりも積極的に受信することにつとめ、メンバーの適性やコミュニケーションスタイルを見抜くことに力を注ぐべきと語ります。
PART.2{伝達}のレシピでは、リーダーの言葉をメンバーの心に届けるための語り方や演出法について説明します。
PART.3{配置}のレシピでは、色々な価値観をもったメンバーを最強のチームに変えるためのまとめ方を解説します。
PART.4{巻き込み}のレシピでは、仕事が「他人ごと」になっているメンバーを巻き込む仕掛けを教えます。
PART.5{育成}のレシピでは、成長させるためのほめ方、叱り方の着眼点について伝えます。
PART.6{立て直し}のレシピでは、負け癖がついてしまっているチームを勝てるチームに変える方法を紹介します。
PART.7{成長}のレシピでは、メンバーとリーダーが一緒に成長するための思考法についてレクチャーします。
こんな方におススメ!
◇勝てる組織をつくりたいと考えているリーダーの方
◇自分にはリーダーシップがないと悩むリーダーの方
◇部下に恵まれていないと落ちこんでいるリーダーの方
感想
リーダーとしてさまざまな困難な壁にぶつかり、チームづくりやリーダーシップについて悩みながら、自分のスタイルを築かれてきた著者の苦悩が文章から読み取れます。
そして、失敗をかさねながらも今まで身につけてこられた「技術」としての、人を動かす技を詳細に語られています。
一口にリーダーシップといっても、大きく2つの対象があると思いました。1つが個人に対して、もう1つがチームに対してです。
「個人」に対してリーダーシップを発揮するには、まずよく観察することから始まります。言葉としての情報だけではなく、うなずき方が普段と違う、不安な表情をしているなど言葉にならないメッセージも重要だと言います。
メンバーが発信してきたものをリーダーがいかに受信していくかが、チームをつくっていくうえでの土台になるようです。
そしてリーダーの言葉をメンバーに伝えるためには、
言いたいことを「聞きたいこと」に翻訳して伝える
これを意識して語ることで、メンバーはリーダーの言葉を自らのビジョンとして受け入れるようになると言います。
リーダーはメンバーの「できないこと」にはすぐ気づきますが、それを克服し出来るようになったとき、しっかり気づくことができるリーダーは少ないようです。成長の兆しに気づいたらすかさずその場でほめる、そのことを積み重ねることで信頼関係が生まれてくるのです。
あなたのことは、ずっとみているから
と伝えることが、リーダーの使命だとしています。
「チーム」に対してリーダーシップを発揮するには、まずメンバーの適性を見抜くことです。
「何をやっているときにイキイキしているか」で適性を見抜く
正確にメンバーの能力を知ることがチームづくりの第1歩なのです。
チームづくりは適材適所と言われますが、その力を最大限に引き出すには、
本人の希望ではなく「向き不向き」で判断する
ことだと言います。最大限に能力を発揮できるポジションに配置できたら本人も成長できますし、チーム全体としての利益にもなります。
チームメンバーは寄せ集めがいい
とも語っています。変らなければ生き残れない時代であり、メンバーの多様性により成長の可能性は高まっていくようです。
「相性」は無視する
「あの人とは一緒に仕事をしたくない」こういう不満がでるときは、緊張感がなくヒマなときだと言います。必死になって勝つために動いているときは、それぞれの力を出し合い協力していかなければいけないので、相性などどうでもよくなるもののようです。
目次
PART.1{観察}のレシピ 今いるメンバーの本当の「強み」を知る PART.2{伝達}のレシピ PART.3{配置}のレシピ PART.4{巻き込み}のレシピ PART.5{育成}のレシピ PART.6{立て直し}のレシピ PART.7{成長}のレシピ |
【今日紹介した本】
ぼくは「技術」で人を動かす――今いるメンバーで結果を出す{チームリーダー}のレシピ
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