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「買わない」理由、「買われる」方法

「消費者が買わない理由は何なのか?」

本書は、「買わない」理由のなかに現代の消費の本質があると考え、「買わない」理由の研究から「買われる」方法に迫る内容です。

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題名 「買わない」理由、「買われる」方法
著者 松田久一(まつだ・ひさかず)
発行 朝日新聞出版

内容

著者の松田久一さんは、1956年兵庫県生まれ。同志社大学商学部卒業後、日本マーケティング研究所入社。情報家電産業や食品、日用品業界において、マーケティング及び戦略経営の実務を経験し、現在はジェイ・エム・アール生活総合研究所代表取締役(日本マーケティング研究所代表取締役兼務)として活躍されています。

本書は、商品が売れた理由のなかに売れる方法を学ぼうとするものではありません。買わない理由のなかに現代の消費の本質があると考え、買わない理由の研究から商品やサービスの買われる方法に迫っています。

内容としては、3つの仮説をたて、その検証を試みています。

1つ目は、売れないのは商品・サービスが消費者のニーズや欲求を満たしていないからという説。

2つ目は、売り手が買い手の選択の自由をコントロールできなくなったという説。

3つ目は、消費者の欲望の退潮が起こっているという説です。

この3つの仮説をビール業界等の事例で検証をして、買われる方法を導き出そうとするのが本書の試みです。

こんな方におススメ!

☆若い世代の行動の動機を知りたい方
☆自社のブランドづくりを考えている方
☆商品が売れない時代の「買われる」方法を知りたい方

感想

まず著者は、買う理由を探し出そうとします。この買う理由が分かればおのずと「買わない」理由が導き出されると考えたからです。著者が考えた消費者の買う理由としての仮説は以下の3つです。

①意識的で合理的な理由説
②条件づけられて気づかない説
③無意識に抑圧さている欲望説

この3つの仮説を通して、ビール類市場などで買う理由の検証をしていきます。

検証の結果は、さまざまなデータを紹介しながら説明されていますが、結局のところお客様に買ってもらうには、お客様のことを良く見ることが重要だと考えます。

すごく当たり前で拍子抜けする感じもありますが、売れない理由はお客さまのことが見えない、あるいは見えにくい組織の構造になっているのが一番の原因なのです。

見えないお客様に対応するには2つの知識が求められていると著者は言います。ひとつは人間観であり、もうひとつは歴史観です。

人間観とは人間を本質的にどういうものかと見なすことであり、先に示した3つの仮説による見方があります。歴史観とは今後の時代を見通す力であり、世代と欲望を読み解く想像力です。

この人間観と歴史観を鍛えるのが教養であり、広い視野を持った豊かな教養が現代のお客さまを見る力になると教えています。

消費心理学、精神分析、マーケティングや経済学にとどまらず、自然・社会・人文諸科学の知識を駆使して多元的にお客さまの心理を深く追求し、解き明かそうとする姿が紙面からよく伝わってきました。

目次

第1章 買わない理由を知っていますか?

第2章 どうして買うのか
―合理的人間、学習人間、欲望人間

第3章 どうして買うのか-ビールの事例で検証

第4章 買わない理由

第5章 買われる方法

第6章 欲望と選択の自由をめぐる攻防
―脱消費社会への転換

【今日おススメした本】
「買わない」理由、「買われる」方法

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