これぞ、ザ・ネーミング~。
お客様がふともらす、心の“ボヤキ”を生で聞き、それに応える“義理と人情”のものづくり。
お客様の“ボヤキ”をデザインするネーミングの奥義を伝授します。
題名 これぞ、ザ・ネーミング~。 (B&Tブックス)
著者 包行均(かねゆき・ひとし)
発行 日刊工業新聞社
内容
著者の包行均さんは、1949年福岡県生まれ。72年に第一経済大学(現・日本経済大学)経済学部卒業後、鉄工メーカーを経て、運搬車・草刈作業車などの農林業機械メーカーである実家の筑水農機(現・キャニコム)に入社。91年に代表取締役となる。
独自のものづくり精神とネーミングセンスは話題となり、経営者層などから大きな支持を得ている。講演依頼やメディアへの登場は多数で、著書に『ものづくりは、演歌だ。』がある。
著者が、代表取締役会長を務めるキャニコムは、草刈機「草刈機まさお」、発電機搭載運搬車「電導よしみ」などユニークなネーミングのオンリーワン商品を次々と世に送り出している会社です。
ネーミングの面白さだけで売り上げを伸ばしている会社のように思われがちですが、それだけで商品が売れているわけではありません。
お客様がふともらす心の“ボヤキ”に耳を傾け、きちんとそれに応える。そういう“義理と人情”のモノづくりで商品を作り出し、さらに演歌の心を込めてネーミングすることで、お客様に喜んでもらえる商品として支持されているのです。
本書は、“ボヤキ”や“義理と人情”のモノづくりなど独特の経営哲学と、「主役 芝耕作」「三輪駆動静香」といった思い切りのよいネーミングセンスを駆使するなど、田舎の中小企業でもキラリと光る会社になるためのノウハウを伝授したとの思いで書かれています。
こんな方におススメ!
☆もっと売れる商品を開発したい方
☆お客様の心に響く商品名をつけたい方
☆中小企業でも、キラリと光るモノづくりをしたい方
感想
たかがネーミングされどネーミングです。著者は、注目を集めるためだけに面白い商品名をつけているのではありません。楽しいネーミングは、自社の商品に対する自信と愛情の現われであり、まるで愛しい我が子の名前を考えるように真剣に命名しているのです。
奇抜なネーミングは商品の性能に自信があるから堂々と名乗れるのであり、名前だけで気を引こうとする商品であればここまで有名になってはいなかったでしょう。
著者は、“ものづくりは演歌だ”と語っています(会社前の大きな看板にもしっかりと書かれています)。演歌とは義理と人情の世界を表わしています。人と人の心のつながりを大切にし、お客様の思いに寄りそって、お客様の“ボヤキ”を丁寧にひろいあげ、農作業が楽になる、速く作業が終わるなど、お客様の問題を解決し笑顔にする商品を届けているのです。
著者は今までの経験から、
ボヤキには”ABC”のランクがある
と語っています。
最低のCランクは「値段が高い」というボヤキ、Bランクは「商品の改良につながる」ボヤキ、Aランクは「新商品の開発につながる」ボヤキです。
お客様の何気ないボヤキを天の声として受けとる姿勢が、抜群の商品開発力につながっているのです。
目次
第1章 「ネーミングは義理と人情だ(ネーミングの心得)」の巻
第2章 「これがネーミングだ(ネーミング対象10年連続受賞の奥義授けます)」の巻 第3章 「ネーミングは経営だ(仕事すべてにネーミング)」の巻 第4章 「寝ても覚めてもネーミングだ(ものづくりは人生だ)」の巻 |
【今日おススメした本】
これぞ、ザ・ネーミング~。 (B&Tブックス)
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