佐藤優さん、神は本当に存在するのですか? 宗教と科学のガチンコ対談
無神論者の竹内久美子さんとキリスト教徒の佐藤優さんが、宗教や神をめぐる紙上バトルを繰り広げます。
題名 佐藤優さん、神は本当に存在するのですか? 宗教と科学のガチンコ対談
著者 竹内久美子(たけうち・くみこ)/佐藤優(さとう・まさる)
発行 株式会社文藝春秋
定価 1,500円+税
内容
竹内久美子さんは1956年愛知県生まれ。専攻は動物行動学。著書は、『そんなバカな!―遺伝子と神について』など多数。
佐藤優さんは、1960年東京都生まれ。元外務省主任分析官。著書は、『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』など多数。
神をまったく信じない科学者・竹内久美子さんが、同志社大学大学院神学研究科を修了し、自らもキリスト教徒である佐藤優さんに対して、キリスト教の矛盾点や神の存在についてするどい疑問をぶつけていきます。
二人の会話は、神の存在を真っ向から否定する、リチャード・ドーキンス著『神は妄想である~宗教との決別~』を中心的な話題として進み、それぞれの立場から神や宗教について論じ合います。
第1章では、二人の生い立ちの話などを交わしつつ、お互いの立ち位置を確認します。
第2章では、聖書が書かれた背景とその内容について、動物行動学の話も交えながら探っていきます。
第3章では、キリスト教の教義とその仕事についての理解を深めます。
第4章では、動物行動学の視点から結婚、浮気、性について掘り下げます。
第5章では、動物と神から人間とは何かを考えていきます。
こんな方におススメ!
☆動物行動学から人間の存在を学びたい方
☆世界一のベストセラーである、「聖書」の成り立ちを知りたい方
☆「神は本当に存在するのか?」に興味がある方
感想
科学者の竹内久美子さんとキリスト教徒である佐藤優さんが、神は存在するのか?宗教とは何か?というテーマでそれぞれの立場から意見を交わしていきます。
外交官として数々の修羅場を経験し、ディベートの達人である佐藤優さんに負けまいと、竹内久美子さんが動物行動学の知識をフル活用して神を全否定していきます。
会話の7割ほどは竹内さんが話していますが、その反面、佐藤さんは悠然と構えている感じも伝わってきます。
最終的には、佐藤さんが神を否定するような発言もありますが、ただ話を合わせている様子もうかがえますので、本心はどうなのでしょうか。
二千年以上前に書かれ、世界中の人々に読みつがれている聖書に関しては、
キリスト教はいい加減な宗教ですし、聖書には矛盾がある
だからこそ、長い間の時代の変化に耐えて長持ちしているのだと佐藤氏は言います。(P.100)
また、その内容についても、
『聖書』には、到底できないことを基準として掲げることによって、全員がそれを守れない罪びとであることを認識させるわけです。
というキリスト教のあちらこちらに見られるダブルスタンダードや良い意味でのいい加減さなど、自虐的な発言も飛び出します。(P.145)
この対談は、宗教が決して神々しくもなければ、品行方正でもなく、きわめて人間くさいものであるという方向に話は向かいますが、それが逆に宗教を身近に感じることにつながるような気がしました。
目次
第1章 神様はホントにいると思いますか?宗教と科学のデスマッチ
第2章 聖書っていい加減ではないですか?天才イエスと悪人パウロの合わせ技 第3章 愛する隣人って誰のこと?血縁と非血縁のはざま 第4章 人はなぜ浮気をするのですか?パートナーと愛人の選び方 第5章 将来のこと、動物に訊いていいですか?人間と動物の合わせ鏡 |
【本日おススメした本】
佐藤優さん、神は本当に存在するのですか? 宗教と科学のガチンコ対談
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