「人真似は、自分の否定だ」 クリエーターの60訓
広告や制作の専門的な知識ではなく「職業人の知識」を現場での「対話」を通して伝えていきます。
変化に対応し厳しいビジネスという荒波を乗り越えてきた先人たちの体験や経験から発せられる言葉には普遍性があり、「なるほど!」という新しい理解が深まります。
題名 「人真似は、自分の否定だ」クリエイターの60訓
著者 高橋宣行(たかはし・のぶゆき)
発行 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン
内容
著者の高橋宣行氏は、1968年に博報堂入社。2000年より関連会社役員を経て、現在はフリープランナー、企業のブランディング、研修講師、執筆活動などで活躍されています。
ビジネスの現場では、何ひとつ同じ課題はありません。人もモノも情報もこれだけ激しく動いているのですから、同じになるはずはありません。
こんな激動の時代において、ビジネスで結果を残すためには、その動いている瞬間をとらえながらさらに先を読んで行動することです。
今のビジネスは本もマニュアルも役に立たない、つねに新しい違いをつくることを求められていると著者はいいます。
では、この状況の中で私たちはどのように対応していけばいいのでしょうか。
残念ながら明確な答えはありません。しかし、著者が30年を超える制作現場の生活で、上司・先輩・同僚から学んだ「考え方・生き方・仕事の仕方」を現場での「対話」を通して教えてくれています。
博報堂出身ということで、広告や制作に話が偏っていると思ってしまいますが、そうではなく普遍的なモノづくりの「知恵」を届けてくれています。
ひとつひとつの言葉に「なるほど!」「そういうことか」「それは気がつかなかった」と腑に落ちる言葉が60訓として収録されています。
こんな方におススメ!
・新しい企画を考えている方
・商品企画担当の方
・プレゼンテーションを成功させたい方
感想
人の心の真髄をまとめた本だと思いました。
モノをつくる側の気持ち、モノを買う側の気持ち、上司の気持ち、あるいはビジネスマンとして生き抜いていくための部下の気持ちなど、あらゆる角度、あらゆる立場からビジネスを行う上での心のあり方を深い言葉で教えてくれています。
全部で60訓ありますが、ひとつひとつが心に染み入りました。私の心に残った言葉は以下でした。
“発想って、結局、人柄だよ”
いかに考え、それをいかに伝えるかは自分の経験や人格から出てくるもので、自分の持っている範囲は超えることはないということです。
“努力できることが才能だ”
人間はそんなに差があるものではなく、しつこく考え継続できる人が成功する。
“優しさって、想像力だ”
思いやりとか気くばりは、道徳の問題ではなく創造力の問題だと言います。相手の立場に立ち、相手の気持ちが読めてこそコミュニケーションは成立します。
“いいけど、好きじゃない”
正しいことだし理屈としては分かるけど、それだけでは相手は心の中でうなずいてくれません。
“普通のことに、もっと敏感になろうよ”
奇抜なことをして人を驚かせることは簡単だが、普通のことで「今までなぜこれができなかったんだろう」と思わせるのは難しい。
実際の体験や経験から発せられる言葉には重みがあり、仕事の壁にぶちあたったとき、それを乗り越えるために試行錯誤して考えに考え抜いた言葉は、とくにシンプルでありながら人の心に響くものが多いと感じました。
人の心をどうやって動かすか、そこにビジネスが成功するポイントがあるのではないでしょうか。
目次
PART-Ⅰ 姿勢 stance
PART-Ⅱ 創造 creation PART-Ⅲ 実践 action |
今日紹介した本
「人真似は、自分の否定だ」クリエイターの60訓
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