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アダム・スミス 人間の本質 『道徳感情論』に学ぶよりよい生き方

公開日: : 最終更新日:2015/02/11 自己啓発 ,

アダム・スミスの著書『道徳感情論』は、自分の利益を最優先とする利己心や人よりも優位に立ちたいという野心といった感情を上手に飼いならし、人よりも“よく生きる”ことが可能になるガイドラインです。

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題名 アダム・スミス 人間の本質—『道徳感情論』に学ぶよりよい生き方
著者 小川仁志(おがわ・ひとし)
発行 ダイヤモンド社

内容


著者の小川仁志氏は1970年京都府生まれの哲学者であり、徳山工業高等専門学校准教授です。

京都大学法学部卒業後、伊藤忠商事、フリーター、名古屋市役所入庁など哲学者としては異色の経歴を持ち、学校のゼミ室や商店街で哲学カフェを主宰するなど市民のための哲学を実践されています。

アダム・スミスは1723年イギリス生まれの経済学者、神学者、哲学者です。主著は「見えざる手」で有名な『国富論』であり、「経済学の父」とも呼ばれており、イングランド銀行が発行する20ポンド紙幣に肖像画が描かれています。

アダム・スミスの著書は、いくつかの論文を除けば『道徳感情論』と『国富論』の2冊だけで、その2冊の改定増補を死の直前まで行っていたと言います。

2冊の関係については『道徳感情論』を倫理や道徳に関する本、『国富論』は経済に関する本と分けてとらえる立場が多い中で、本書の著者は道徳的基礎を重視するアダム・スミスの基本思想が経済の領域でも応用されたと考え、2冊を同じ原理を説く一体のものととらえています。

こんな方におススメ!

◇アダム・スミスの『国富論』以外の著書を読みたい方
◇アダム・スミスによりよい生き方を学びたい方
◇アダム・スミスをもっとよく知りたいと思っている方

内容


アダム・スミスといえば『国富論』の“見えざる手”が有名ですので、経済学者だとばかり思っていましたが、実は哲学者でもあり『国富論』を書く前に『道徳感情論』を執筆していることを知り今回手に取りました。

アダム・スミスいわく、私たちは人の目を気にしながら、人から評価されるように行動し、それが社会秩序の形成につながっているのだとしています。

そして、その行動の評価として他人から受けるものが“称賛”と“非難”というわけです。

人は称賛されるように、また非難されないために頑張る

たしかに子供の頃から親や先生にほめてもらえるように頑張り、叱られないようにルールを守ってきたように思えます。日本人は特にこの傾向が強いので、社会の秩序がしっかりしているのでしょうか。

ではどのような行為をすると称賛され、どのようにすると非難されるのでしょう。アダム・スミスはこの基準について以下のように語っています。

適切な慈恵の通常の程度におよばないものは非難されるべきだと思われる。そして反対にそれをこえるものは、称賛にあたいすると思われる

「適切な慈恵の通常の程度」とは何かについて著者は、「人の迷惑を考えて普通に行動すること」と解釈しています。

ビジネス上で考えると、ルーティンワークなど通常やるべきことは期日を守り正確に行うのは当然で、さらに求められている以上の成果を出すことで初めて称賛されるのです。

ですので、認められたい、早く出世したいと考えている場合は、他人が求めていることだけでなく、それにプラスαを加えることにより称賛の度合いが高まっていくのでしょう。

ですが認められたいと他人の評価ばかりを気にして、しかもそれを先取りしてしまうと、結局何もできなくなってしまうという問題に陥りかねません。それでは称賛される機会さえ失ってしまいます。

ですので、著者は他人の評価をあまり過度に気にしすぎてもいけないとも付け加えています。

目次

第1章 人間にとって一番大事なものは何か?
―同感という発見第2章 正しい世の中とは何か?
―正義論

第3章 ルールをつくればそれでいいのか?
―完全な社会秩序

第4章 なぜ私たちは頑張るのか?
―人間を動機づける称賛と非難

第5章 金儲けは悪か?
―金儲けと両立する徳

第6章 グローバリズムにどう立ち向かうべきか?
―徳の普遍性

【今日紹介した本】

アダム・スミス 人間の本質—『道徳感情論』に学ぶよりよい生き方

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