「何から読めばいいか」がわかる 全方位読書案内
本を読むことは、すべての人に平等に与えられている教養の形です。
現代は、誰もが教養をたっぷり享受できる幸せな時代です。
一冊の本には、色々な方向へ興味を伸ばしていくきっかけがあります。
自分に必要なことに限らず、好奇心が続々と湧いてくる。本という媒体を通しての予測不可能な出会いが、知の細胞を増殖させていくのです。
題名 「何から読めばいいか」がわかる 全方位的読書案内
著者 齋藤孝(さいとう・たかし)
発行 株式会社ウエッジ
内容
著者の齋藤孝氏は明治大学文学部教授であり、著書も多数でテレビなどでも活躍されている方です。
齋藤先生は辛い浪人生活を乗り越えて大学に入った時に、「さあ、これで読書ができるぞ」と思われたそうです。その時の全方位的な教養に対する興奮状態を維持し、拡大させながら今まで生きてきたと語っています。
そして、「豊かな人生とは何か」という問いに対しても、「教養を常に友としている人生」と答えています。
本書は、教養という窓を開き知的好奇心のアンテナをのばして、たくさん刺激を受け生きる喜びを実感してもらうための方法として、読書の楽しみ方を教えてくれています。
第1章は「歴史観」です。大人になってから様々な学問の知識をあらためて学びたくなった時には、教科書で全体像を把握するのが良い方法です。『もういちど読む 山川日本史』など山川出版の本は上手にまとめられていて、大人の学び直しに適しているようです。
第2章は「思想観」です。思想に関しては、いきなり難しい本から始めると挫折してしまうので、名著解説本を読むだけでもかなり多くのことを学べるとしています。
第3章は「日本文化観」です。日本文化を語るときに、仏教や儒教の話しは欠かせません。特に儒教は身近でないと感じる方も多いので“孔子”にフォーカスして儒教を読み解く方法を教えています。
第4章は「仕事観」です。仕事に関しては、小説やマンガなどでも様々な本が出版されていますので、それらを読むことも良いきっかけとなるようです。
第5章は「科学観」です。『世界がわかる理系の名著』を入門編としてすすめています。ダーウィンの『種の起源』から始まる科学の古典が一冊にまとめてあるので、肝心なポイントをしっかり押さえることができます。
こんな方におススメ!
◇効率よく読書を楽しみたい方
◇自分の読書に偏りがあると感じている方
◇齋藤孝式の読書術を身につけたい方
感想
齋藤孝先生は、ジャンルにこだわらずに色々なことに幅広く興味を持っている少年の心を持った人だと感じました。
私もそうですが、年をとってくると好き嫌いがはっきりして、自分の興味のない本などまったく読む気もしなくなってくるものだと思いますが、齋藤先生は違います。歴史、思想、科学、ビジネスあらゆることに興味を持ち、しかも興味を持った分野を深く掘り下げ、きっちりと理解をするまで様々な本を読みこんでいきます。
学ぶことを楽しむ、知識が増えていくことを至福の喜びとしているかのようなのです。大学の教授なので学ぶことは当然好きなのでしょうが、それ以上に学ぶ楽しさを人に教えることに喜びを見出しているのではないのでしょうか。
本を紹介されている先生の高揚感が紙面を通してヒシヒシと伝わってくるような気がしました。
一つの出来事はそれだけで完結しているのではなく、根っこの方で色々な事象とつながっているものです。宗教を学ぶ場合でも、それだけではなくその宗教を信仰している民族の歴史、地理的要素、時代背景などすべてを理解していないと本当にその宗教を理解するのは難しいでしょう。
先生もきっと一つの事を学んでいくうちに、新しい「なぜ」が生まれてきて、その疑問を解き明かしていくうちに、膨大な読書量になっていくのでしょう。
一冊の本だけでは点でしかないですが、次々と読んでいくうちにそれが線となり、色々な知識がつながり面となって堅固な知識となっていく、そんな感じなんでしょうか。
先生のように本を読むことは難しいと思いますが、「必ずしも全部のページを読まなくていい。二割くらい読んでおよそのことがわかればそれでいいのです」と言っているので、要旨をつかんで本の内容を人に語れるようになれば、ある程度理解したことになったと言えるようです。
なるべく多くの本に触れるようにすることで、人生がもっと豊かになり退屈とは無縁な生活がおくれるようになりたいですね。
目次
第1章 歴史観 1.日本史 第2章 思想観 1.思想へのアプローチ 第3章 日本文化観 1.日本の伝統文化 第4章 仕事観 1.経済学 第5章 科学観 1.苦手意識を払拭する |
【今日紹介した本】
「何から読めばいいか」がわかる 全方位的読書案内
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