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「グレー企業」になりなさい!

公開日: : 経営・戦略

「グレー企業」とは、疑わしい会社という意味ではありません。

大手企業のような待遇を約束できないけれど、法律に定められた最低限の待遇は保証し、会社が健全に経営できる範囲の中で社員の立場を尊重する。

それが「グレー企業」の定義なのです。

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題名 「グレー企業」になりなさい! 中小企業が生き残るための「究極の経営戦略」
著者 長尾雅昭(ながお・まさあき)
発行 現代書林

内容

著者の長尾雅昭さんは、昭和34年東京生まれ、税理士であり特定社会保険労務士です。

労働保険、社会保険の事務手続きから事業承継、節税対策まで、それぞれの資格の知識を生かし総合的に経営のコンサルティングを行っています。

「ブラック企業」という言葉がここ数年知られるようになりました。パワハラの横行、有給休暇が取れない、サービス残業、名ばかり管理職など、会社本位の環境で労働を強いて社員を使い捨てするような会社のことですね。

昔であれば、給料も役職も自然と上がるのでガマンして勤めるという選択肢を取る人が多かったのですが、近年は「適正な報酬を得るために、自分たちの権利を正しく主張する」という風潮で経営者にとっては受難の時代となっているといいます。

ましてや、インターネットの普及もあり社員一人ひとりが情報取集力をもち、会社の内部事情もネットで拡散させ、一気に世間の耳目を集めることもできるようになっています。

だからといって社員の望むとおりの待遇を実現するのは、財政的、人員的に余裕のない中小企業にとっては限界があります。そこで本書では、

大企業のように万全の待遇ではないけれど、法律に定められた最低限の待遇は確保する。会社が健全に経営できる範囲で、社員の立場を尊重する

大企業(ホワイト企業)とブラック企業の間をとる、「グレー企業」として会社も社員も納得して働ける環境づくりの行い方をアドバイスしています。

こんな方におススメ!

◆就業規則の策定(改定)を考えている方
◆社員の士気を高める施策を考えている方
◆問題社員の言動に頭を悩ませている方

感想

「グレー企業」という題名を見た時に、ブラックすれすれの疑わしい会社を目指すのか?

と思いましたが、そうではありませんでした。経営資源の限られている中小企業が法律に定められた待遇はしっかり守り、社員に納得して働いてもらう中で金銭的支出をおさえて安定経営を続けていける企業、という意味での「グレー企業」でホッとしました。

財政的に余裕のない中小企業は、大企業のような待遇を実現させるのは難しいことですので、会社と社員が無理をせず納得して働けるお互いの信頼関係が大切だと感じました。

信頼関係を築くためには場当たり的な対応ではなく、初めにルールを決めておいてそれに従って対処することで、もし問題が起きた時でもスムーズに解決させることができ、無益なトラブルも回避できるとしています。

もしこのルールがなければ対応が後手に回って処理がより難しくなることが予想されますし、人によって対応が変わってしまうということも起こりかねません。

そうなると社員の会社に対する不信感がつのり、納得感もなくなってしまう恐れがありますので、そうならないために会社のルールブックである「就業規則」の作成を著者はすすめています。

グレー企業をつくるための一番の鍵は、労使トラブルのリスクを回避する就業規則の作成です。

労働基準法など上に位置する法律に違反しない内容であれば、会社はどんな就業規則をつくることも認められていると言いますので、徹底的に吟味した中であらゆる場面に備えた規則をつくることが重要です。

グレー企業を目指す企業にとって「定額残業」は絶対欠かせない対策のひとつです。

会社の仕事はすべて就業時間内に終わるとは限りません。ときどき就業時間を過ぎてしまう会社は、定額残業にしたほうがお互いすっきり対応できるとしています。

その際のポイントは「時間管理」です。設定した時間を超えた場合は、適正な残業代を支払うことを忘れてはなりません。

グレー企業は「右肩上がり」を求めない

攻めより「守り」。いかに経営のリスクを減らすか、という部分にフォーカスしている内容でした。

海外に打って出る体力のある会社であればいざ知らず、そうでない中小企業が生き残るには、会社と社員が納得して活動できるムリをしない経営をすること。そして背伸びをしない現実を見据えた明確な経営のビジョンを示すことで、会社と社員のお互いが幸せになれる経営ができると感じました。

目次

第1章 経営者を悩ませる、社員・職場のトラブルは盛りだくさん……

第2章 生き残りたいなら、「グレー企業」になりなさい!

第3章 「グレー企業」のすすめ① 売り上げと人件費をつかもう

第4章 「グレー企業」のすすめ② 残業代の対応

第5章 「グレー企業」のすすめ③ 問題社員との正しい接し方

第6章 「グレー企業」のすすめ④ 労働基準監督署との付き合い方

第7章 「グレー企業」が目指すべき会社像

【今日紹介した本】

「グレー企業」になりなさい! 中小企業が生き残るための「究極の経営戦略」

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