絶対達成する部下の育て方
どんなにすばらしい商品でも、どんなに知識があっても、100%のお客様が自社の商品を買ってくれるという方法はありません。
セールスは頭の中で「こうやろう」と思ってもなかなかその通りには行きません。
セールスは不確実性の森を歩いているようなものなのです。
その中で「やらないよりは、やったほうがいいだろう」ということをいかに積み重ねていくかが大事なのです。
題名 絶対達成する部下の育て方――稼ぐチームに一気に変わる新手法「予材管理」
著者 横山信弘(よこやま・のぶひろ)
発行 ダイヤモンド社
内容
著者の横山信弘氏はアタックス・セールス・アソシエイツ取締役副社長として、コンサルティング、セミナーなどを行い、企業研修などは数ヶ月先まで予約で埋まる人気となっています。
コンサルティングは「以前よりよくなった」ではなく「どんなに悪くても予算達成」することを主眼にして、現場に入りこみとことん結果にこだわります。
本書は、営業という仕事にフォーカスして書かれており、キーワードは2つ「やりきる」と「予材管理」という言葉です。
「やりきる」という言葉はなんとなく理解できますよね。営業の場合でしたら、なんといっても予算達成です。
予算達成のためにやるべきことは、目標予算にしっかりと焦点を当てることと「現状維持バイアス」(現状のまま維持したいという心理的な欲求)を外すことだと教えてくえています。
もう1つの言葉「予材管理」は初めて聞く言葉ですが、これは著者が考えた新しい予算の目標数字の立て方で、「見込み」「仕掛り」「白地」という3つから構成されます。
「見込み」とは、目標予算のうち達成できそうなもの、「仕掛り」とはひょっとしたら注文がくるかもしれないもの、「白地」とはお客様と信頼関係を築いている段階のことです。
この3つを合わせて目標予算の200%を積み上げることとしており、特に「白地」の重要性を強調し、「白地」活動を中心とした営業活動を提案しています。
年間100回以上のセミナーで5000名超の経営者・マネージャーに営業の極意を伝える著者の熱い思いが伝わってくる内容となっています。
こんな方におススメ!
・部下に目標予算を達成してほしいと願う上司の方
・新しい予算数字の立案方法を探している上司の方
・「やりきる」組織に変えたいと考えている上司の方
感想
本書の中で一番印象に残った言葉はこれです。
理解=言葉×体験
人間は言葉が腹に落ちてはじめて、その言葉の意味を理解し自発的に行動に移すと言われています。
ではどうすれば良いかというと、言葉に体験を掛けることなんです。
今は情報過多の時代で、インターネットを見るといろいろな情報がすぐ手に入ります。情報を浴び続けると実際に体験していないのに「分かったような気」になってしまいます。
でも知識だけではうまくいきません。
営業はスポーツに似ているといいます。たとえば水泳の場合ですと「泳ぎ方の本」を読んだだけでは、けっして泳ぐことはできません。
実際に泳いでみると手や足の動かし方、上半身と下半身のバランス、呼吸のタイミングなど頭の中で考えていただけでは分からないことが見えてきます。
泳ぎ方を勉強し、それをもとに泳いでみる。頭と体が一致すること、つまり「体得」しなければ泳ぐということを理解できないということなんですね。
ですので、著者は「理解」してもらうためには、まず体験することをすすめています。
上司が「行動量をもっと増やそう」と言った場合に、「量もそうですけど、中身も大事ですよね?」なんて言ってくる人がいますが、考えているだけでは何もはじまりません。
結局は「100%正しいプランは存在しない」ので80%の確度のプランでも何度かくり返すうちにあるべき姿に近づいていくのです。
古臭い方法ですが、足を運びいかに多くのお客様と顔を合わせ、信頼関係を築けるかということが、遠回りのようで一番確実な営業スタイルだと著者は考えています。
訪問回数を決めるなどして、それを確実にクリアさせる。時間はかかりますがそうすることで着実に営業の数字は達成に近づくようになり自信になる。その体験が自発的に動ける人材に変える一手だと感じました。
目次
Part1 「絶対達成」の第一歩は、目標に焦点を当てること
Part2 動かない部下が自ら動くようになる!「現状維持バイアス」を外す方法 Part3 「絶対達成」させる新マネジメント術 -「予材管理」 Part4 「そよかぜ型」から「ツイスター型」チームへ変わる方法 Part5 「なくす」「まかせる」「短くする」で一気に業務改善!営業日報は100%必要ない Part6 今日から会議は「2週間に1回30分」だけにしなさい |
【今日紹介した本】
絶対達成する部下の育て方――稼ぐチームに一気に変わる新手法「予材管理」
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