0(ゼロ)ベース思考 ―どんな難問もシンプルに解決できる
どんな問題も一発で解決できる魔法のような方法はありません。
先入観にとらわれず、ちがう確度から、ちがう筋肉を使って、ちがう前提で考えてみましょう。
また、問題の原点に立ちもどり、すなおな心で核心を鋭くとらえる。つまり「ゼロベース」で考えることで問題の解決に大いに近づくことができるのです。
題名 0ベース思考—どんな難問もシンプルに解決できる
著者 スティーブン・レヴィット/スティーブン・ダブナー
訳者 櫻井祐子(さくらい・ゆうこ)
発行 ダイヤモンド社
内容
著者の一人スティーブン・レヴィットさんは1967年生まれ。シカゴ大学経済学部教授。03年ノーベル経済学賞の先行指標といわれる、ジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞するなど、世界的に注目されている経済学者です。
スティーブン・ダブナーさんとの共著に、世界的ベストセラーとなった『ヤバい経済学 [増補改訂版]』『超ヤバい経済学』があります。
本書には「フリーク」という言葉が一つのキーワードになっています。「フリーク」とは“フリーコノミクス”の略で、レヴィットのお姉さんがつくった造語であり、世間の慣習や常識にとらわれない人を指す言葉という意味で使われています。
従来の枠にとらわれずに、日常的な疑問を経済学のツールを使って読み解いていこうとするのが「フリーク」の趣旨なのです。
経済学とは「世の中が実際にどうなっているのかを明らかにする学問」であると言い、レヴィットは人を行動に駆り立てる動機や要因、つまりインセンティブという観点から幅広い問題の核心に迫ろうとしています。
先入観にとらわれず問題の原点に立ち戻り、核心を鋭くとらえること。すなわち「ゼロベース」の思考法をわかりやすいストーリー仕立てで教えてくれています。
こんな方におススメ!
☆今までにない新しい企画を考えている方
☆人生の選択に悩んでいる方
☆聞く耳を持たない人を説得したいと思っている方
感想
人は道徳や理性で動くものではなく、表面上は人格者のようなふるまいをしていたとしても、それは結果としてそう見えるだけで、実際の心理的な部分は、金銭的や群集心理インセンティブだったりする場合が多くある。そう著者は語っています。
また、口に出す希望と「本当にやりたいこと」は違うとも言い、何かを口では言いながら、こっそりと自分の本当にやりたいことをやるもののようです。
人を動かそうとしたら自分のコンパスではなく、生身の人間が影響されるインセンティブをつきとめ、どう行動するかを考えることが大切で、著者は適切なインセンティブの仕組みを設計するルールを以下のように挙げています。
1、相手の言葉を鵜呑みにしないで、本当に関心をもっていることに注目する
2、自分では簡単に提供できるが、相手にとっては価値があるものを提供する 3、相手の反応に注目する。喜ぶ、がっかりするなどの反応を見て色々試してみる 4、相手との関係を敵対から強調へシフトできるように考える 5、「正しい」ことだから、相手がそれをしてくれるなんて考えてはいけない 6、どんなことをしてもその裏をかいて悪用する人が出てくる。そんな時は、相手の強欲を呪ったりせず、創意工夫に賛辞を送ろう。 |
以上のような、あらゆる問題解決に役立ちそうな考え方のヒントをいろいろと紹介されています。その方法も、ただポイントを羅列するのではなく、ダブナーが取材で発掘した幅広い題材や出来事を交えて、ストーリー仕立てで話しが進んでいくので、楽しみながら考え方のエッセンスが頭に入るようになっています。
第8章「聞く耳をもたない人を説得するには?」でも言っているように、人を説得するには、“物語”にして聞かせるのが一番効果的なのです。
世界一のベストセラー『聖書』も物語として語られているからこそ、これだけ広まっているのであり、本書はそれを実践し、楽しいストーリーを中心にして記憶に残るように話しを進めています。
目次
第1章 何でもゼロベースで考える ―バイアスをゼロにしてアプローチする思考法 第2章 世界でいちばん言いづらい言葉 第3章 あなたが解決したい問題は何? 第4章 真実はいつもルーツにある 第5章 子どもように考える 第6章 赤ちゃんにお菓子を与えるように 第7章 ソロモン王とデビット・リー・ロスの共通点は何か? 第8章 聞く耳をもたない人を説得するには? 第9章 やめる |
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