三ツ星料理人、世界に挑む。
パリでの日本料理店〈OKUDA〉の開店。一度決めたらやり通す。困難は覚悟の上でしたが、「意地でも形にする」と決心した先に、待っていたのは世にも不思議な出来事ばかりでした。
題名 三つ星料理人、世界に挑む。 (一般書)
著者 奥田透(おくだ・とおる)
発行 株式会社ポプラ社
内容
著者は、ミシュランガイドの三ツ星料理店〈銀座小十〉のオーナー奥田透氏です。2013年9月パリに〈OKUDA〉をオープンさせ、わずか5ヵ月でミシュランガイドの一つ星を獲得。日本を代表する気鋭の和食料理人です。
本書は、奥田透氏がパリに〈OKUDA〉をオープンさせるまでの半生記をつづった書籍で、幼少期から話しは始まります。
静岡で生まれ、甲子園出場をめざし野球漬けだった少年時代。自分の店を出すことを目標に、厳しい修行を自分に課しがむしゃらに仕事に没頭した青年時代。自分の店を持ちミシュランガイド三ツ星の獲得からパリに出店するために奮闘した現在まで、時系列に話は進んでいきます。
仕事に対する意識の変化、人との交流の中で育まれていく感謝の念、夢を持ち行動することにより深まる人との縁などそれぞれの人生のステージに見合った出来事を通じて成長していく著者の姿がリアルにいきいきと描かれています。
こんな方におススメ!
・働くことの意義を広い視点で考えたいと思っている方
・和食料理人を目指そうとしている方
・日本の食材・文化を見直したいと考えている方
感想
「願えば叶う」、この言葉が読後、心に浮かびました。
こうなりたいという自分の将来像、目標がなければ決してその姿になることはできません。ですが、明確な考えがあることにより現在の苦労も苦痛ではなく、将来の糧と思えるようになり、喜んで厳しい仕事に取り組めるようになるのでしょう。
それも頭の中で考えているだけでなく、思いを公言することが重要で、周りの人に自分の考えを理解してもらうことで協力してくれる人も現れるかもしれませんし、意外なつながりによって物事が良い方向へ急展開することだってあるからです。
できれば、自分の将来像が金持ちになりたい、有名になりたいという利己的な考えではなく、業界あるいは社会全体が良くなるというものであれば、賛同者は圧倒的に増えていくようです。
著者はパリで日本料理店をオープンさせる際に、新鮮な魚を手に入れるためにわざわざ魚屋も開店させたと言います。フランスはあまり生魚を食べる食習慣がない国民なので、新鮮な魚を仕入れ輸送する手段がなかったと言います。
そこで、漁師との直接交渉、輸送ルートの開拓などに奮闘し、活きのいい魚の確保を成功させました。成功の影には著者の“新鮮でおいしい魚でパリの食文化を変えたい”という思いに賛同して協力してくれた人々がいたのです。
社会のためという志を持って行動を続けていると、必ずチャンスはやってくる。そして、その行動が正しければ誰かが見ていて必ず応援してくれる。そう著者は教えてくれている気がしました。
目次
第1章 パリ奮闘記
第2章 挑戦と挫折の果てに 第3章 私に三ツ星がもたらされた理由 第4章 パリで魚屋を始めよう |
【今日紹介した本】
三つ星料理人、世界に挑む。 (一般書)
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