伝わっているか?
なんとかして「伝えよう」として、がんばればがんばるほど空回りしてしまう。
それはなぜでしょうか?
答えは簡単です。
「伝える」ことばなりに集中しすぎると、結局相手のことを考えず、自分の意思を押しつける結果となっているからです。
題名 伝わっているか?
著者 小西利行(こにし・としゆき)
発行 株式会社宣伝会議
内容
著者の小西利行氏は、1968年生まれ、POOLinc.代表でコピーライター、クリエイティブ・ディレクター、創作絵本作家、など多方面で活躍されています。
これまで手がけた広告作品は、日産自動車、サントリー、ロート製薬など500本を超え、国内だけでなく海外でも数々の広告賞を受賞されています。
本書は「伝える」ではなく相手に「伝わる」にはどうすれば良いか、著者が長年の経験の中から導き出したメソッドをまとめたものです。
相手に「伝わる」ためには、相手のことをたくさん想像しなければなりません。そうすることにより相手の望んでいること、してほしいことがいろいろ思い浮かんできます。
「相手のしてほしいことを想像する」のがコミュニケーションには大切で、「伝わる」ためには相手の心が動くようなアイデアが必要となります。
では、そのアイデアはどのように考えたら良いのか?
著者が簡単なコツを教えてくれています。
①相手が「おっ♡」と微笑む瞬間を想像する。そして、②相手が望んでいるコトと、あなたが伝えたいコトが重なる「共感ポイント」を探す
これらのコツの使い方を「伝わるメソッド」」としてまとめ、分かりやすく解説していきます。
本書の舞台となっているのは、新宿二丁目で働いていたゲイのももこがママをつとめる昔ながらのスナックです。
そこにふらっと現れた“イルカ”が、相手に「伝わる」ためのコミュニケーションのメソッドを説いていくという内容で話は進んでいきます。(この無理やりな設定も「伝わる」ための仕掛けなのでしょうか…)
こんな方におススメ!
・口下手でうまく自分の気持ちを伝えられない方
・商品の販促企画メンバーとなり、良いアイデアを探している方
・売れなくなった商品のリニューアルを考えている方
感想
「伝える」と相手に「伝わる」では、大きな違いがあるという言葉が一番印象に残りました。
普段一生懸命に相手に「伝えよう」として、言葉を選び、ある時は遠まわしに、またある時は相手の態度を見きわめながら「伝える」という努力をしているつもりでしたが、その根本から間違っていたのだと知り大変反省しました。
「伝える」ということは自分の考えを相手に押しつけることであり、相手としてみれば何のメリットもない話を延々とされても、うれしくもなんともないわけですからね。
そこで重要なのは、いかに相手に「伝わる」ようにコミュニケーションをとるかなのです。
相手に「伝わる」ようにするには、相手のことをたくさん想像することが必要になります。それによって相手がしてほしいこと、言ってほしい言葉が浮かんできます。
自分にメリットのある、楽しませてくれるような内容なら相手の方からしっかり耳を傾けますからね。
「答えはいつも 相手の中にある」
ということなんですね。
例えば本書の伝わる「メソッド⑯『スリーポイント」」というものがあります。これは「目的」と「相手の気持ち」と「その解決策」という3つのポイント押さえるだけで「伝わる」言葉が書けるというものです。
その例としてあげられているのが、職場でつい言ってしまいそうな次の言葉です。
「時間がないんだから、早く仕上げてくれよ!」
う~ん、大変厳しい言葉ですね。このままですとイライラがストレートに伝わってしまい、相手はあせるばかりであまりいい気持ちがしませんね。
これに「伝わるメソッド」を当てはめると次のようになります。
目的:期限内に仕上げさせる
相手の気持ち:精一杯頑張ってますよ!
解決策:理解する→期待する
さて修正後はどうなったでしょうか。
「頑張ってくれているとは思うが、期限内で出来るかは君にかかっている。しっかり頼んだぞ」
相手の気持ちを考えるだけで、相手が「はい、頑張ります!」とはりきりたくなるような言葉をかけることが出来るようになりますね。
言霊(ことだま)という日本古来の言葉もあるように、言葉にはその人の気持ちがのるものなので、思ったことをすぐ口に出すのではなく、すこし頭の中で整理し相手の気持ちを考えてから言葉や文字にする。そういうクセをつけ気持ちの良いコミュニケーションを心がけていくことにより対人関係がスムーズになると感じました。
目次
第一章 伝わる言葉のメソッド第一話 人気のなかったナポリタンが、たった一日で人気商品になった理由とは? 第二章 伝わる仕事のメソッド第四話 何もない過疎の村に、突如観光客が押し寄せた理由とは? 第三章 伝わる考え方のメソッド第七話 離婚寸前の夫婦が、仲睦まじい夫婦になった理由とは? 最終章 伝わる考え方のメソッド第十話 考えるのが苦手だったももこが、頑張って考えるようになった理由とは? |
【今日紹介した本】
伝わっているか?
スポンサーリンク
関連記事
-
0(ゼロ)ベース思考 ―どんな難問もシンプルに解決できる
どんな問題も一発で解決できる魔法のような方法はありません。 先入観にとらわれず、ちがう確度から
-
ホンダ流ワイガヤのすすめ 大ヒットはいつも偶然のひとことから生まれる
会議が楽しくて何時間でも話しを続けていたい。こんな感覚を味わったことはありますか? 会議なんて
-
「私は私」で人間関係はうまくいく
人生がうまくいかないのは、あなたが「やさしい」からではないですか? 「やさしい」人たちは、自分
-
「人真似は、自分の否定だ」 クリエーターの60訓
広告や制作の専門的な知識ではなく「職業人の知識」を現場での「対話」を通して伝えていきます。 変
-
ぼくは「技術」で人を動かす
リーダーシップを発揮するためのスキルと人間性を混同して捉えてしまうと、自分の未熟さに目線が向くために
-
あなたを悩ます 話してもわからない人
「話してもわからない人」とのコミュニケーションに悩んだことのある方に、対応のヒントを教えてくれる一冊
-
お客様の心をつかむ「色」の使い方
カタログやポスター、パッケージや包装紙、壁紙や窓わくの色をもう少し商品やターゲットに合う色にしたいと
-
初対面で話がはずむ おもしろい伝え方の公式
どうやったらおもしろい伝え方ができるのか。 元落語家であり、ベテラン放送作家の著者が誰でもおも
-
スノーピーク「好きなことだけ!」を仕事にする経営
せっかくものをつくるなら、今までにない製品を作ったほうがいい。他社のマネをした製品はすぐに陳腐化し、
-
図解 頭のいい説明「すぐできる」コツ
伝えたいことが、相手に正しく伝わらない。 お願いしたのに、相手がその通りに動いてくれない。
スポンサーリンク
- PREV
- プレゼンできない社員はいらない
- NEXT
- 絶対達成する部下の育て方