コミュニケーションがうまくいかないのは、スキルの問題ではありません
本書のテーマは、コミュニケーション能力を高めることではありません。
コミュニケーション能力を高めて自分を武装化する。これで本当にうまくいくでしょうか?
コミュニケーションは1人ではできません。個人で完結するものではなく、必ず誰かと繋がっています。
そのため個人がコミュニケーションスキルを高めただけでは何も変わらないのです。
自分の周りのコミュニケーションをいかに良くできるか、そのために何ができるのかを考えることが結果的に上手にコミュニケーションできることになるのです。
では、ビジネスにおける良いコミュニケーションとはどういうものでしょうか?
自分だけ目立つ発言をしたり、相手を論破したり、交渉に打ち勝ったりするのが決して良いコミュニケーションなのではありません。
良いコミュニケーションとは、自分も相手もお互いに納得して良い変化をもたらす、そういうものなのです。
題名 アイデアが湧きだすコミュニケーション ―心のシグナルを読み、対話しよう
著者 松丘啓司
発行 株式会社ファーストプレス
【感想】
本書の中で一番目にしたフレーズは「価値観」です。著者の言う「価値観」とは、その人が心の奥底で大切にしている、その人にとって重要度を決める基準で、同じ情景・現象でも「価値観」というレンズを通してみた時に他人とは異なる情報として処理される心の回路のことなのです。
たしかに違う環境で育ち、違い年代、違う性別、違う役職の相手と同じ認識に立ち、同じ「価値観」を持つということはかなり難しいことです。
自分と相手は「価値観」が違い、同じものを見たり聞いたりしてもまったく違う感じ方をするということを常に頭のすみに置いて、コミュニケーションをしなければいけないと感じました。
それぞれ違う「価値観」の集団の中でいかにして、目標を共有して同じ方向を向いて進んでいけば良いのか、著者は1つの答えを導き出してくれています。
それは、「調和」という解決策です。
「価値観」の違いをぶつけ合う“対立”や、相手の意見を飲み込む“妥協”ではなく、どちらの「価値観」も共有できる「調和」という方法が、お互いが納得するだけでなく、そこから更に新しい進歩を生み出すと教えてくれています。
では、「調和」を生み出すにはどうしたらよいのでしょうか?
その方法は、違う「価値観」を持つ相手の立場になって考えてみることと、コミュニケーションをあきらめないことです。
両方とも大変面倒な気がしますが、これをすることによりお互いの心のモヤモヤがなくなるだけでなく、今まで見えてこなかった創造的な解決策が浮かび上がってくるそうです。
【おわりに】
本書の中に「積極的な受け身」という言葉がありました。コミュニケーションというと、自分から行動して意思疎通を図るというイメージがありました。
ですが、相手の「価値観」」を尊重して心の奥にある意図を理解することで、間違った推論をしなくてすむようになり、お互い納得のいくスムーズなコミュニケーションができるようになると感じました。
こちらの意見を押しつけるのではなく、まず聞くこと、そこから始まるのですね。
目次
第1章 コミュニケーションとは何か 第2章 理解力を鍛えよう 第3章 調和を目指そう 第4章 コミュニケーションが変われば、仕事は変わる |
↓今日紹介した本

アイデアが湧きだすコミュニケーション ―心のシグナルを読み、対話しよう
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