*

コミュニケーションがうまくいかないのは、スキルの問題ではありません

公開日: : 最終更新日:2014/06/06 コミュニケーション

本書のテーマは、コミュニケーション能力を高めることではありません。

コミュニケーション能力を高めて自分を武装化する。これで本当にうまくいくでしょうか?

コミュニケーションは1人ではできません。個人で完結するものではなく、必ず誰かと繋がっています。

そのため個人がコミュニケーションスキルを高めただけでは何も変わらないのです。

自分の周りのコミュニケーションをいかに良くできるか、そのために何ができるのかを考えることが結果的に上手にコミュニケーションできることになるのです。

では、ビジネスにおける良いコミュニケーションとはどういうものでしょうか?

自分だけ目立つ発言をしたり、相手を論破したり、交渉に打ち勝ったりするのが決して良いコミュニケーションなのではありません。

良いコミュニケーションとは、自分も相手もお互いに納得して良い変化をもたらす、そういうものなのです。

 

s_DSC_0849題名 アイデアが湧きだすコミュニケーション ―心のシグナルを読み、対話しよう
著者 松丘啓司
発行 株式会社ファーストプレス

 

【感想】

本書の中で一番目にしたフレーズは「価値観」です。著者の言う「価値観」とは、その人が心の奥底で大切にしている、その人にとって重要度を決める基準で、同じ情景・現象でも「価値観」というレンズを通してみた時に他人とは異なる情報として処理される心の回路のことなのです。

たしかに違う環境で育ち、違い年代、違う性別、違う役職の相手と同じ認識に立ち、同じ「価値観」を持つということはかなり難しいことです。

自分と相手は「価値観」が違い、同じものを見たり聞いたりしてもまったく違う感じ方をするということを常に頭のすみに置いて、コミュニケーションをしなければいけないと感じました。

それぞれ違う「価値観」の集団の中でいかにして、目標を共有して同じ方向を向いて進んでいけば良いのか、著者は1つの答えを導き出してくれています。

 

それは、「調和」という解決策です。

 

「価値観」の違いをぶつけ合う“対立”や、相手の意見を飲み込む“妥協”ではなく、どちらの「価値観」も共有できる「調和」という方法が、お互いが納得するだけでなく、そこから更に新しい進歩を生み出すと教えてくれています。

 

では、「調和」を生み出すにはどうしたらよいのでしょうか?

 

その方法は、違う「価値観」を持つ相手の立場になって考えてみることと、コミュニケーションをあきらめないことです。

両方とも大変面倒な気がしますが、これをすることによりお互いの心のモヤモヤがなくなるだけでなく、今まで見えてこなかった創造的な解決策が浮かび上がってくるそうです。

 

【おわりに】

本書の中に「積極的な受け身」という言葉がありました。コミュニケーションというと、自分から行動して意思疎通を図るというイメージがありました。

ですが、相手の「価値観」」を尊重して心の奥にある意図を理解することで、間違った推論をしなくてすむようになり、お互い納得のいくスムーズなコミュニケーションができるようになると感じました。

こちらの意見を押しつけるのではなく、まず聞くこと、そこから始まるのですね。

 

目次

第1章 コミュニケーションとは何か

第2章 理解力を鍛えよう

第3章 調和を目指そう

第4章 コミュニケーションが変われば、仕事は変わ

 

    ↓今日紹介した本

アイデアが湧きだすコミュニケーション ―心のシグナルを読み、対話しよう

スポンサーリンク

関連記事

初対面で話がはずむ おもしろい伝え方の公式

どうやったらおもしろい伝え方ができるのか。 元落語家であり、ベテラン放送作家の著者が誰でもおも

記事を読む

心理学入門―心理学はこんなに面白い

心理学は、人間に関わるあらゆる問題をとらえ、解決していくために役立ちます。   題名 心

記事を読む

ぼくは「技術」で人を動かす

リーダーシップを発揮するためのスキルと人間性を混同して捉えてしまうと、自分の未熟さに目線が向くために

記事を読む

図解 頭のいい説明「すぐできる」コツ

伝えたいことが、相手に正しく伝わらない。 お願いしたのに、相手がその通りに動いてくれない。

記事を読む

正論で争いを仕掛けてくる 相手の言葉なんて真に受けるな!

自分を大切にしている人は、相手の言葉に惑わされません。 自分を大切にしている人は、相手の感情に

記事を読む

なぜ一流の人は謝るのがうまいのか

「謝る」と「詫びる」は違います。 部下を動かす、得意先に信頼される、仲間に慕われる。 一

記事を読む

「上司の伝え方」しだいで、ダメな部下が変わる

現場で1000人以上の部下を見てきた著者が教えてくれる部下を動かす上司の行い。 本書は、それぞ

記事を読む

ストレスゼロの伝え方

他人に自分の考えを伝えるということは、あまりにも日常的であたり前のことです。だから多くの人は「伝える

記事を読む

ヤバイ出世学 気弱なあなたも会社で一目置かれる心理術

出世する人と出世できない人の違いは何でしょう?それは「評価されるルール」に従って行動しているか否かで

記事を読む

プレゼンできない社員はいらない

私たちは毎日のように何らかのプレゼンを行っています。 上司に対して、会議の中で、お客様に対して

記事を読む

スポンサーリンク

スポンサーリンク

「想い」と「アイデア」で世界を変える ゴミを宝に変えるすごい仕組み 株式会社ナカダイの挑戦

「失敗なんてない!!」 世の中で言われているところの失敗というの

初対面で話がはずむ おもしろい伝え方の公式

どうやったらおもしろい伝え方ができるのか。 元落語家であり、ベテ

仕掛学 人を動かすアイデアのつくり方

問題解決を促すアプローチは、さまざまあります。 どうせなら笑顔に

やむなく営業に配属された人が結果を出すために読む本

売れないのは、商品のせいではありません。あなたが商品の魅力をうまく伝え

頭を下げない仕事術

なかなか相手のOKを引き出せない方、どんなに熱心に頭を下げてもイエスを

→もっと見る

PAGE TOP ↑