仕事。
自由なようで不自由な時代。なかなかチャンスにもめぐり合えない。人間関係もうまくいかない。でも私たちは仕事をするしかない。なげいていてもしかたがない。自分なりの方法を見つけ壁を乗り越えるしかない。
答えはどのビジネス書にも書かれていません。仕事をしながら「人生を楽しくする仕事」のやり方を見つけるしかないのです。
題名 仕事。
著者 川村元気(かわむら・げんき)
発行 株式会社集英社
内容
川村元気氏は、1979年生まれ、上智大学を卒業後、東宝にて「電車男」「おおかみこどもの雪と雨」「寄生獣」などの映画を製作されました。映画監督、クリエイティブ・ディレクター、小説家、絵本作家として幅広く活躍されています。
本書は、川村氏がその業界でトップを走っている巨匠たちに「仕事とは何か」を問いかけるインタビュー形式の内容です。著者と同じ年の頃に巨匠たちは、何を想い、何を考え、どう活動していたのか。何に苦しみ、何を楽しみ、どうやってここまでやってきたのか、生の声を聴きます。
彼らの言葉に、人生を楽しくする働き方のヒントが詰まっていて、働くことの本当の意味を考えさせられます。
一辺倒なインタビューでなく、川村氏個人の仕事への取り組み方、仕事への想いを語っている場面が多くあり、彼の人間性を知る上でも学べる一冊となっています。
こんな方におススメ!
・今の仕事は自分に向いていないんじゃないかと悩んでいる方
・川村元気のことをもっと知りたいと思っている方
・クリエイティブな仕事に就いて活躍したいと考えている方
感想
その業界で名をはせた一流と呼ばれる人に共通している部分は、成功するまであきらめない、自分の理想とする完成図に向かい妥協しない、壁にぶち当たっても創意工夫をくり返しゴールを目指す、チャンスを逃さないあるいはつくり出す、という姿勢だと感じました。
そして現状に満足しないで、さらに良いものをつくりたいという貪欲な思考が、今でも輝きを放っている原動力となっているのではないのでしょうか。
ではなぜこの本に登場した方々はここまで自分の仕事にのめり込めているのでしょうか?
もともとやりたい仕事だった、持って生まれた才能があった、世界から認められている、など考えられますが、根本はその仕事が好きだからなのだと思います。好きだからこそ頑張れる、好きだからこそ壁に行く手を阻まれてものり越えていける。
では、仕事を好きになれない場合はどうしたらいいのでしょうか?
その仕事に就いて間もない場合でしたら、とりあえず一生懸命取り組んでみることです。仕事が自分に合う、合わないはすぐに分からない場合が多く、やっているうちにだんだんと仕事のおもしろさが分かってきて天職と呼べるようになることもあるものです。
それでも今の仕事が好きになれない場合は、収入を得るためだと割り切る、思い切って天職などすることになるでしょう。イヤイヤ仕事をしていても自分だけでなく周りも不幸になりますからね。
また、もしこの仕事が好きだと思えるようになっても、人間ですので慣れとかマンネリなど仕事に集中できなくなる場合もあるかもしれません。そうならないように本書に登場する方々の多くは本業とはちょっと違う取り組みをされていました。(本業とそうでない仕事の境目がはっきりしない方もいらっしゃいますが。)
写真だけでなく舞台演出、作詞をやりながらプロデューサーもこなすなど、本業から派生した複数の仕事を持たれています。そこで重要なのは、本業とそうでない仕事も手を抜かないこと。そうすることで周りの評価も得られるし、さらには本業にもプラスに働くようです。
最後に、人に評価され一流と呼ばれるようになるためのヒントが倉本聰氏の言葉に隠されているように思いました。
世間から抜きん出るには、どこかで無理をしないといけない
才能がある人でも、それだけでは上にいけない。ましてやそうでない凡人はそうとうの努力が必要で、そういう努力を怠る人はその他大勢に埋もれてしまうということなんですね。まったくもって反省です。
目次
まえがき
山田洋次 沢木耕太郎 杉本博司 倉本聰 秋元康 宮崎駿 糸井重里 篠山紀信 谷川俊太郎 鈴木敏夫 横尾忠則 坂本龍一 |
【今日紹介した本】
仕事。
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