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佐藤可士和のクリエイティブシンキング

公開日: : 最終更新日:2015/02/02 コミュニケーション, 広報・マスコミ

クリエイティブとは、アーティスティックな表現方法のことではありません。

現状を良くするために創意工夫をし、問題を解決していくことをクリエイティブシンキングと呼んでいます。

従来の教科書的なマーケティングだけでは、限界がきていると言われているこの時代に、クリエイティブシンキングという考え方は、大いに役立つ重要なスキルなのです。

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題名 佐藤可士和のクリエイティブシンキング
著者 佐藤可士和
発行 日本経済新聞出版社

内容


著者の佐藤可士和さんは、ユニクロ、国立新美術館のシンボルマークデザイン、NHK教育『英語であそぼ』のキャラクターデザインと番組アートディレクション、幼稚園のプロデュースなど多方面で活躍されている、アートディレクター/クリエイティブディレクターです。

クライアントとなる企業や組織の本質を見極め、その存在・能力を最大限に表現できるコミュニケーション戦略とデザイン力で絶大な信頼を集めています。

本書は2008年に半年間、日本経済新聞に連載した『クリエーティブをひとつまみ』をベースとして加筆修正し書籍化したものです。

前作『佐藤可士和の超整理術』では「整理」にフォーカスした内容でしたが、今回はそれも含めてもう少し大きい概念としてのクリエイティブシンキングについて述べていきます。

著者の考えるクリエイティブシンキングとは、アーティスティックで感性に頼る表現方法のことではなく、クライアントの抱える悩み、あるいは気づいてない悩みを丁寧に拾いあげ、本質を見極め創造的な考え方で問題を解決していくことだと考えます。

著者の今までの経験から導き出されたノウハウをもとにし、具体的な仕事の実例と照らし合わせながらクリエイティブシンキングの有効性を紹介していきます。

こんな方におススメ!

◆佐藤可士和の考え方、仕事術を知りたい方
◆クリエイティブな組織をつくり出したいと考えている方
◆会社、組織をダイナミックに変えたいと考えている方

感想


佐藤可士和さんを知ったきっかけは、ユニクロのロゴをデザインされた人ということで雑誌で紹介されていたからです。その後テレビなどでもたびたび見かけるようになり、書籍もさされているということでしたので今回手に取りました。

佐藤可士和さんのすごいところはロゴマークを考えるだけではなく、商品のコンセプト、デザインからロゴをはじめショップのインテリア、広告展開までも総合的に行うクリエイティブディレクターだということでした。

クリエイティブディレクターというとアーティスト的な仕事かと思いますが、著者は自分の仕事のことを「アーティスティック的な自己表現とはむしろ逆」と言います。

実際の仕事はクライアントの言葉にならない思いを胸の中から引き出し、世間に伝えていくための最適の方法を選び、具現化していく仕事で“コミュニケーションコンサルタント”ではないかと自分の仕事を分析されています。

本書は、商品をどうやったら魅力的に見せ、手に取ってもらえるかというマーケティング的な内容も多く載っていますが、「働き方をデザインする」という、社内でのミーティング、対外的なプレゼンテーション、適材適所のプロデュース能力など人間関係の基本である滑らかなコミュニケーションについても多くのページを使っています。

人間同士はたやすく分かり合うことはできない

するどい発言ですね。さまざまな経験の中で著者が導き出した答えであり、まさにその通りかもしれません。ですので、コミュニケーションには細心の注意が必要ですね。

だからこそ、誠意を込めて相手のことを理解しようとする姿勢が大切だ

“誠意”難しいことですね。著者の考える“誠意”とは、相手をリスペクトし、また立場を考慮した上で同じ目的を達するために真摯な気持ちでコミュニケーションを行うこととしています。

また、「Ⅱ 試してみようクリエイティブ」では、ブログ、SNSなどさまざまな情報が飛び交う時代において、多くの人が共感できるリアリティを提示することで、強く魅力的なコミュニケーションにつながると語っています。そしてリアリティを表現するために大切だとしているのは次の言葉です。

人間の根源的な部分に訴える

時代が変わっても、人間としての変わらない根っこのような部分が必ずあるはずなので、誰もが体験したことがありそうな感情や思い出を掘り出すことによって思い出がわき上がり、心が揺さぶられるのだとしています。

私の場合なんかは、子供の頃オバケが怖くてトイレに行けなかったこと、夏の夕立後のコンクリートの匂い、などになつかしい記憶がよみがえりますね。

リアリティが共感を呼ぶ

という考えは、いろいろな分野においてマーケティングを行う上で共通の考えなんですね。

目次

Ⅰ クリエイティブマインドを作る

01 その前提は正しいか? ―疑うことがクリエイティブの出発点
02 人の話を聞く ―相手の本意を引き出す問診力
03 悩んだら気持ちを書いてみよう ―自分の気持ちを整理する
04 見立ての習慣、身につけよう ―比喩することで本質が伝わる
05 自分の仕事を描いてみる ―言葉より伝わるビジュアルの力
06 記憶の検索エンジン ―気になることにタグを付ける
07 心をつかむプレゼンテーション ―説得よりも共感を

Ⅱ  試してみようクリエイティブ

08 リサーチよりもリアリティ ―時代のキーワード“リアリティ”
09 お客様目線とお茶の間目線 ―似て非なるユーザーと世間
10 何でもメディアになる ―既存メディアの枠を打ち破る
11 主体性の引き出し方 ―仕事を“自分事”にさせる
12 強いチームの作り方 ―適材適所のプロデュース能力
13 ストーリーを描けるか? ―コンテンツからコンテクストを作る
14 デザイン力は付加価値か? ―ビジョンを形にする

Ⅲ こんなところまでクリエイティブ

15 働き方をデザインする ―環境から組織まで
16 オンとオフを無理に分けない ―仕事と休暇をリンクさせる
17 ハマれるものを見つける ―突き抜けると本質が見えてくる
18 アナログ感覚を取り戻す ―リアリティのセンサーを研ぎ澄ます

【今日紹介した本】

佐藤可士和のクリエイティブシンキング

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